2011/09/12

FUJI ROCK FESTIVAL'11 3日目④ 2011/7/31(SUN) Wilco/The Music

Wilco(WHITE STAGE)


Wilcoを観るために今年のフジに参加したというお客さんもきっと多かったと思う。
アメリカの至宝、WilcoがWHITE STAGEのトリとして登場。

Wilcoのファンは年齢層も幅広く、熱狂的なファンが多いように思う。
Wilcoのパフォーマンスに対応するかのような観客の歓声を聞いていると、なんだか海外のフェスにいるかのように気分になった。

アメリカの歴史とともに脈々と受け継がれるカントリー・ミュージックを吸収して咀嚼し、今の時代にフィードバックするWilco。

まだまだWilcoの音楽の奥深さは理解しきれてない。
アメリカ音楽のルーツを知れば知るほど、Wilcoの凄さがありありとわかってくるはず。

懐の深さを感じさせる、FES最終日の終焉を飾るに相応しいライブだった。



しかし、このWilcoを最後方で観ているときに、高校の頃から好きだったアーティストが泥酔して横を通り過ぎるというアクシデントが。
ということで、そっちがすんごく気になって、Wilcoを観ているどころではなくなってしまった。

フジロックは会場内でもアーティストがそこら中を普通に歩いてるわけで、それも魅力の一つ。
ただし、アーティストの「素」の部分も観れるというのは、ファンとしては嬉しいとも限らないかも。
まあでも、それぐらいアーティストは気を抜けるということだから、やっぱりフジロックは素晴らしいフェスだと思う。



The Music(GREEN STAGE)


そして、2011年のGREEN STAGEのラストを飾るのが、このステージがバンド活動のラストとなるThe Music。

4人の演奏が化学反応を起こして巻き起こるグルーブ、ロブの驚異的なダンス・パフォーマンスとハイトーン・ヴォイス。
FUJI ROCK初出演の2002年のRED MARQUEEのステージは、今でもはっきりと記憶に残ってる。まさに伝説的なライブだった。

FUJI ROCKを特別に思い、FUJI ROCKERに愛されてきた彼らの最後の勇姿を見届けようと、23時を回ってからステージだったにも関わらず、多くの人たちがGREEN STAGEに残っていた。

スキンヘッドにパーカーを被ったロブがステージに現れる。

『The Truth Is No Words』『Fire』『Strength In Numbers』といった代表曲が次々と演奏され、お客さんは嬉しい反面、一曲終わるごとに彼らの日本でのラストライブの終わりが近づくのを感じる。
周りにいたお客さんたちは、じっと彼らの姿を目に焼き付けるかのように、見守るように観てた。

『Getaway』が流れてくると、いよいよライブが終盤に差し掛かったことをはっきりと感じる。

Bleed From Within』では途中、ロブは舞台から降りて左右に走り回り、あのキレのあるダンスを披露した。
そして、搾り出すかのように発せられたヴォーカルは、彼らがこれまで向き合ってきた苦悩そのもののように聴こえてきて、痛々しかった。

これほど真摯に音楽をやってきたバンドはなかなかいない。
自分たちの音楽に真摯に向きあえば向き合うほど、音楽を続けることに苦しみを感じてしまうこともあるだろうなと、このバンドを観ているとそんなことを考える。

最後は「ありがとう」とMCをして、遂に『People』のイントロが流れてくる。

2002年にレッドマーキーで観たステージは、いろんなアーティストのライブをひっくるめた私のライブ体験の中でも屈指のパフォーマンスで、あの時に渦巻いていたグルーブとエネルギーの凄さは異常だった。特に、この『PEOPLE』は忘れられない。RED MARQUEEの地面が揺れるほどの盛り上がりと酸欠になりそうなほどの熱気が充満していた。

あの時の凄さを知っているからこそ、このラストライヴの『PEOPLE』を聴くと、解散に至った経緯もなんとなく理解できてしまう気がした。
ロブの歌声はどことなく苦しそうに聴こえてきた。
バンドを解散せざるを得なくなってしまったこの状況に対する悲しみが伝わってくるようだった。

ロブは解散の理由を「もう楽しめなくなってしまったから」とインタビューで語っていた。


高校卒業と同時にCDデビューした当時は、ただ音楽をやることが楽しくて、観客を踊らせたい一心でバンド活動を行っていた。
けれど、デビューからあまりにも注目を集め、いきなり人気が出た新人バンドはセカンドアルバムの制作で苦しむ。
3rdアルバムの歌詞は、ティーンネイジャーの日常を歌ったデビューアルバムの歌詞とは打って変わって、苦悶し続け、それでも前に進もうとする彼らの精神性が表現されている。
3rdアルバムで復活したかのように見えただけに、解散という結果になってしまったことは
やっぱり残念でならない。


ただ、音楽に対するピュアな気持ちを今は取り戻せていないとしても、彼らの持つポテンシャルの高さはフジロックのお客さんが十分知ってる。
休養をして、また音楽を楽しめるようになったらそれぞれで音楽活動を再開して欲しいと思う。
引退するにはまだ早過ぎる。


彼らとは同年代で、2002年のフジロックのデビューとこのラストライブをこうして見届けることができたことを思う感慨深い。








0 件のコメント:

コメントを投稿