2011/09/10

FUJI ROCK FESTIVAL'11 3日目② 2011/7/31 CORNERSHOP/斉藤和義/YMO

CORNERSHOP(FIELD OF HEAVEN)

CORNERSHOPは、イギリスで育ったアジア系のSingh兄弟と白人の4人組バンドとして92年に結成(今はTjinder SinghとBen Ayresの2人組)。
バンド名は、イギリスで生活するインド系の人々が持つ典型的な「小さな街角の雑貨店」から付けられ、人種差別主義に対して声を挙げてきた彼らは、最近ではフリーチベットの活動もサポートしているよう。





インド音楽とブリットポップにダンス・ミュージックがミックスされたオリジナリティー溢れる音楽性で、90年代に日本でも大ヒットした彼ら。2009年にオリジナルアルバムを7年ぶりにリリースし、音楽シーンに戻ってきた。

シタールが醸しだすゆったりとした瞑想的なムードがFIELD OF HEAVENを包みこむ。
CORNERSHOPは紛れもなくブリットポップ期を代表するアーティストで、「懐かしい」という言葉がまず頭を過ぎった。
Tjinderのヴォーカルは独特のリズム感があって、時間の流れがスローダウンするかのように感じさせる。


『Brimful of Asha』では、リアルタイムで聴いていた当時を思い出すかのように、曲に合わせて楽しそうに振り付けをしながら踊る人たち。
ピースフルでハートフルな空間が広がっていた。




斉藤和義(WHITE STAGE)

お昼にはAvalonで会場に入りきらないほどのオーディエンスを集めた斉藤和義、WHITE STAGEに再登場。
ドラマーは中村達也、ギターはフジイケンジ。

2曲目にはAvalonでも演奏した『猿の惑星』を再び歌う。
その流れで、『幸福な朝食 退屈な夕食』を。



この曲は1997年にリリースされたアルバム『ジレンマ』に収録されている。
『ずっとウソだった』や『猿の惑星』で、一気に世間の注目をを集めたけれど、この『幸福な朝食 退屈な夕食』なんかを聴くと、彼は以前から恋愛だけを歌ってたわけではなく、社会的に対する鋭い視点やアイロニーを歌に映しだしてきたアーティストだったと気付かされる。

この日は一部の歌詞を変えて、「東京電力」を歌の中で皮肉っていた。


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そして、Avalonでも演奏したあの曲のイントロが流れてくる。
この流れだとこのWHITEでも歌うのか、と思いきや原曲『ずっと好きだった』の歌詞を歌った。
原曲で聴きたい人もいるだろうし、さすがにWHITEでは『ずっとウソだった』はやっぱり歌わないかな、と思いながら、原曲の歌詞に注目して聴く。

原曲は資生堂のCMソングで、斉藤和義が得意とする甘酸っぱい恋愛の歌。
この歌を作ってた頃は、こんなポップなメロディに原発の歌詞を乗せて自分で歌うなんて、考えもしなかっただろうに。

3月11日以前に戻れるなら戻りたいと、こんなポップで甘い恋愛の歌を聴くと、そんなことを思ってしまう。

もう少し観ていたかったけど、YMOが始まる時間になったからGREENに移動した。

すると後ろから、再びあの曲のイントロが流れてきた。
やっぱり、斉藤和義はWHITE STAGEでも『ずっとウソだった』を歌った。
揺らがない姿勢は十分すぎるほど伝わってきた。

斉藤和義ぐらいのメジャーなアーティストで、3月11日以降で原発のことを歌で取り上げて話題となっているアーティストは今のところ斉藤和義以外にはまだ出てきてないな、と改めて思う。

もちろん、それぞれの方面で原発について歌っているアーティストや脱原発を訴えてるアーティストはいるけれど、こういうメジャーなアーティストが堂々と表明して歌うということが社会に与えるインパクトは大きいし、そこで賛否両論の意見が出てくることが貴重だと思う。


YMO(GREEN STAGE)

この日のハイライト、YMO。
開演前で既にGREEN STAGEの最後方の辺りまで人がぎっしり詰めかけていた。

両側のスクリーンに映しだされるメンバーの姿。
日本を代表するアーティストである3人が集結するステージを眺めるだけで、ゾクゾクした。

YMOのライブを観るのは初めて。
この日のステージで受けた衝撃は期待を遥かに超えた。

CDで聴いていたYMOの音と、この日のライブで聴いた印象はかなり違った。
というのも、YMOのメンバーはかなりのアレンジを施し、最新のサウンドで仕上げて来ているから。

その音から古臭さ、懐かしさは全く感じさせなかった。

『Behind The Mask』で映しだされる3人の姿は、これ以上ない程クール。
幸宏さんのタイトなスーツ姿、黒いハットを被った教授、ベストにベレー帽の晴臣さん。
両側のスクリーンに映しだされる、真っ黒の背景に鮮やかなビビッドカラーが浮かび上がるVJ。
サウンドもビジュアルも立ち振る舞いも、全てにおいて、改めてその卓越したセンスを肌で感じた。

『Taiso』では教授がメガフォンを手に、「胸を腕の前に上げて痙攣の運動」といったセリフを放つ。スクリーンに映し出される教授の姿は、この上なく絵になってた。
高橋幸宏さんのドラムは相変わらずタイトで躍動的。

最後方の辺りでGREEN STAGEとオーディエンス全体を見つめていたけど、かなりの人が踊ってる。あの演奏を前にして、踊らずにはいられない。

『千のナイフ』もその後演奏されたけど、これなんかもYou Tubeで昔の映像と最近のを聴き比べると、やっぱり受ける印象はかなり異なる。
バックのメンバーがそもそも違うというのもある。
当時からシンセなどの機器の性能が比べものにならないほど上がってるから、当然アレンジで当時では出せなかった音を出せるということもある。







そして、その後に演奏したのが『CUE』。
私はこの曲を初めて今回聴いたけれど、この曲が一番胸打たれた。

YMOの曲でヴォーカル入りというだけでも珍しく、印象的。
高橋幸宏さんのヴォーカルを聴いていると、そよいでくる風がこの上なく気持よく感じられた。
そして、思い出したのはNew Orderだった。
New OrderがYMOの影響を受けていたなんてことはこれまで聞いたことはないけれど、両アーティストに通底するものを感じずにはいられなかった。
直接ではなくとも、YMOがテクノ/エレクトロ/ニューウェーヴ のシーンに与えた影響はそれだけ広範囲に及んでるということだと思う。
なぜ、New Orderがこれほど好きなのに、YMOをちゃんと聴いてこなかったのか、と少し悔やんだ。




ライブ終了後は全員が一列になって、肩を組んでおじぎをし、会場からは大きな拍手が送られた。

個人的には、間違いなく今回のFUJI ROCKで最もインパクトを受けたステージの一つとなった。

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