Bob Dylanが日本にやってくる、しかもライブハウスツアーらしい。
ロック好きなおじさん2人の立ち話でそのニュースを初めて耳にしたとき、「そんなんありえるん?」って、にわかには信じがたかった。
けれど、年明けにはZeppでのライブチケットが発売に。
この3年ぐらいで一気にBob Dylanにはまった私。
遂に、Bob Dylanのライブが観れる。
もちろん行くつもりだったけれど、チケットの一般発売日に予約しそびれ、二日後にチケットをチェックすると全てソールドアウト。。。
ネットであらゆる検索をかけ、何とかギリギリZepp Tokyoの2階スタンディングがかろうじで残っていたため、即予約。
1Fスタンディングが良かったけれど、仕方がない。
観れるだけでも十分、と割り切った。
前置きが長くなってしまったけれど、この日のライブにかける想いはちょっとやそっとではなかった。
何せ、12000円の立ち見ライブなんて初めて。
当日は会社の午後半休を取って望んだ。
午後半休を取ったのに当日会場に着いたのは結局18時になってしまい、会場の周辺にはぐるっと長い長い行列ができていた。
みんな整理番号順に並んでいる。
あのおじさんたちは会社休んできていたのだろうか?
とにかく、会場は既にオープンし始めていたので、急いで会場入りました。
けど、入ってからグッズは場外に売ってることに気付いて後悔。
グッズなんていつもほとんど買わないし、私が行くライブでは大体会場内で売ってるけど、やっぱり大物は違うのね、と一つ学んだ。
2Fの立見席は思っていたよりお客さんが少なくて、全然余裕でした。
中央の手すりで場所を確保。
ステージは青いライトで照らされていた。
会場では詩の朗読が流れていた。
そして19時10分ぐらいに照明が暗くなり、遂にメンバーが現れる。
正直、眼が悪い私には最初どれがディランなのかわからなかった。。。
ディランは黒いスーツに赤いシャツ。そして黒いハットを被っている。
表情までは見えなかったけれど、予想していたよりずっと元気に動いていた。
そして、最新アルバムで聴く、あのしわがれた渋いヴォーカル。
生で観るボブ・ディランだ。
私はディランのアルバムは有名どころしか聴いていないので、演奏される曲の半分以上知らない曲なんじゃないかと思っていた。
さらに、ライブではほとんどの曲がアレンジによって曲調が大きく変わる。
特に、生で聴くディランのハーモニカはヴォーカル以上に胸を打たれた。
DVDで観ていたディランのハーモニカを吹く姿。
言葉はなくても、言葉以上に説得力がある音色。
なんであんなに渋いのか。
これが世界中を魅了し続けるディランなんだと実感。
ギターを弾いたのは「Under The Red Sky」の1曲のみ。
この曲が収録されている1990年のアルバム「Under The Red Sky」は聴いたことなかったため、この曲も初めて聴いたけれど、とても良い曲だった。
『Shelter From The Storm』(1975『血の轍』)
南国からの風が吹いてきそうなアレンジ、とでも表現すればいいのか。
緩く温かい曲調になってました。
良かった。
65年ごろのディランの姿をDVDで観ていた私には、ディランのイメージは若い頃で止まっていた。
とがってるイメージ。
最近のディランはこんな穏やかな側面も見せるのだなと、改めて感じた。
『Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again』(1966年「Blond On Blond」)
生でこの曲が聴けるなんて、ともう感無量。
テンポは早めでハーモニカのアレンジが印象的だった。
『Masters Of Warr(戦争の親玉)』(1963年「Freewheelin' Bob Dylan」)
オリジナルとそれほど曲調は変わっていなかったように思う。
この歌が訴えかけるメッセージの解釈は人それぞれだろうけど、この歌の持つパワーは歌詞がわからなくても十分伝わってくる。
今のディランだからこそ、当時よりもさらに歌声に力があるようにも思う。
ぐいぐい引き込まれた。
You TubeのPVは映像が編集されてるものが多い(ブッシュの映像など)ので、ライブ映像を貼ってます。
これは94年のWoodstockでのライブ。
『Highway 61 Revisited(追憶のハイウェイ61)』(1965年「Highway 61 Revisited」)
めちゃくちゃかっこ良かった。
キーボードが印象的でした。
これもスウィングするようなアレンジで、セッションもかなり長かった。
今回のツアーでは必ず演奏されてる曲のよう。
『Thunder On The Mountain』(2005年「Modern Times」)
ブギーなジャム・セッション。
自由自在のキーボードとドラム。
古き良きアメリカとはこういうものだと思った。
ディランはバンドメンバーとのセッションを心から楽しんでいるように見えた。
私も楽しくて自然に身体が左右に揺れる。
本編最後は「Ballad Of A Thin Man」。
渋く締めくくって、一旦メンバーは退場。
ステージ後方には、目のロゴが大きく映し出されていた。
そして、アンコールで再び登場。
聴こえてくるのは「Like A Rolling Stone」。
アンコールの1曲目で遂にこの曲が。
観客から大きな歓声が上がる。
もう感動しすぎて、一言一言をかみ締めてました。
サビの部分でライトがステージから客席へ流れるように照らされる光景は一生忘れません。
No1のロック・ソングであるこの曲も、この日のアレンジではとても優しい曲調で、ディランのしわがれた歌声が優しくあのフレーズを投げかける。
「How does it feel」
「With no direction home」
キーボードのアレンジがとても印象的で、適切な表現ではないかもしれないけれど、幼稚園の先生がオルガンで「ドシラソファミレド」をスタッカートをつけて弾くような音でした。
『Jolene』(2009年「Together Through Life」)
この曲もごきげんなブギー調のアレンジ。
ディランのキーボードが華麗に弾む。
アメリカのライブハウスでライブが観れたらどれだけ最高なんだろうと思った。
アメリカの音楽の歴史が詰まってる。
そして、初めてディランが曲以外で発言したメンバー紹介があった。
ラストは「All Along The Watchtower」。
この曲が収録されている「ジョン・ウェズリー・ハーディング」はこれまで聴いたことがなく、この曲も初めて耳にしたのだけれど、圧巻だった。
ラストに相応しい曲でした。
最後、メンバー全員が前に出て一列に並んで、退場。
心からの拍手を贈る。
しばらくその場から動けなかった。
1曲1曲がジャム・セッションで非常に長く、アンコール含めて2時間弱。
69歳になっても衰えを全く見せない。
ディランは渋かった。
そして楽しそうだった。
2001年以来、8年ぶりの来日となった今回のライブツアー。
再びディランの生声を聴けることができることはできるのか。
今回の来日公演に足を運んだ多くの人が、今回がラストになるかもしれないと思って、貴重なひとときをかみ締めて聴いたと思う。
まだ5日ほど東京公演は残されていたけれど、もちろん全てソールドアウト。
もう一回ライブを観たい。
でも、この日あの場にいられただけで、感謝すべき。
大げさではなく、歴史の一ページを見た。
終了後、物販買いに並ぼうと思ったら、他部署の本部長を発見。
嬉しくて声を掛けさせて貰いました。
40代後半の本部長はディランの初来日公演を高校生の時に観たという。
めちゃめちゃ羨ましい。
けれど、そのライブには拍子抜けしたらしい。
自分用に記念のチロルチョコとTシャツを購入。
本当にライブで物販買うことないけれど、記念に。
日付入りのTシャツが欲しかった!売り切れていて残念。
ディランの自伝とか読んでみたい。
オフィシャルのホームページは充実してて、全公演のセットリストもあります。
試聴もできる。
http://www.bobdylan.com/#/tour
日本のソニーミュージックのサイトでは解説が。
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Special/BobDylan/special/news.html
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