ビーチボーイズのサンシャイン・ポップを2009年に甦らせたサンフランシスコのポップ・デュオ、Girlsの初来日ライヴを観てきました。
19:00スタートのこの日、19:00過ぎにアストロホールに入ると後方までお客さんぎっしり。
アストロホールは初めて行ったが、思っていたよりも狭い(収容は400人らしい)。
そこには、いかにも原宿を歩いてそうなファッショナブルな男性、ビートルズやビーチボーイズが好きそうな40代ぐらいのおじさん、新しいものに敏感そうな女の子、そして業界人風の人たちが集まっていた。
クリストファーとチェットたちが登場。
クリストファーは髪を右側で分けて逆サイドに垂らすおなじみのあのヘアスタイルに、大きめのシャツを着ていた。
どんなステージになるか、あの場にいたお客さん全員がドキドキしていたはず。
そんな緊迫と期待の中、初めに聴こえてきたのは『Laura』。
予想していた以上に、聴こえてきた音はスカスカだった。
拍子抜けするぐらいに。
弱いヴォーカル。
でも、その音はGirls以外何ものでもなかった。
真夏のビーチで蜃気楼が見えてきそうな『Headache』は、クリストファーのヴォーカルがCDで聴くよりもスウィートでノスタルジックに響いた。
聴こえてくるギターの音は、時を60年代にバックさせる。
その後のMCで、クリストファーは前日に亡くなったJay Reatardについてコメントをして、
『Drling』を演奏。
Jay Reatardの死因はまだわかっていないが、Jay Reatardも波乱万丈の人生を送ってきたアーティストだったよう。29歳の若さで亡くなった。
そして、『Drling』の後に聴こえてきたのは、あのギターのリフ。
観客誰もがこの日、一番待ち侘びていたあの曲のイントロが早々と聴こえてきた。
そう、『Lust For Life』。
この曲で、ライブはがらっと変わった。
Girlsにもお客さんにもスイッチが入った。
その後、デビューアルバムには収録されていないナンバーを2曲披露。
ミディアムテンポの曲だったが、甘いメロディーのとてもいい曲だった。
アルバムに入っていないのは非常にもったいない。
次のアルバムに入るのかな?
またがらっと変わって、ご機嫌のロックンロール・ナンバー『Big Bad Mean Motherfucker』で勢いづく。
そして、『Hellhole Ratrace』が素晴らしかった。
希望の光がこぼれてくる曲。
徐々に音が広がり、エフェクトでノイズは壮大になる。
ここまでできるのか、という嬉しい驚きを与えてくれた。
もう弱々しさなんてなかった。
しっかりとした演奏になっていった。
間違いなく、この日のハイライトはこの『Hellhole Ratrace』から次の『Morning Light』。
轟音のフィードバック・ノイズと力強いバックの演奏。
Girlsの音楽はまず最初にビーチボーイズを例として挙げられるが、そんなサンシャイン・ポップばかりでなく、シューゲイズするギター・サウンドも素晴らしい。
本編最後の曲がまた素晴らしかった。
アルバムには入っていない。
宇宙空間を感じさせるエフェクトがかかりまくった歪んだサウンド。
10分近い長尺ナンバー。
こういった曲をデビュー作に入れなくてもいいというところに、彼らのクオリティーの高さを改めて感じた。
アンコールラストに『Life In San Francisco』を演奏。
日本盤のボーナストラックに収録されていた『Life In San Francisco』だけれど、Girlsを象徴するような、木洩れ日が似合うスロー・ナンバー。
そして、クリストファーは花を客席に投げて去って行った。
この光景はThe Smithのライブが再現したかのようだった。
前半はお手本ともいうべきサンシャイン・ポップを披露し、後半になるにつれてポップという枠に収まりきらない幾重にもレイヤーがかかったサウンドを展開。
Girlsに対する「ポップな曲を書くバンド」という印象は、この日のライヴで結構変わった。
ポップなだけではなかった。
夏には「Maybe」と後から付け加えていたが、サマーソニックで再び来日する模様。
デビュー・アルバムでここまで注目、評価されると次回作はプレッシャーだろうけれど、サマー・ソニックでのステージも注目を集めることは間違いない。
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